マチュピチュ（ペルー）

NHKの調査によると、日本人に一番人気のある、一番行きたい世界遺産はペルーのマチュピチュだそうです。

マチュピチュは空中都市と呼ばれていますが、それは山裾からその姿が見えないためです。

クスコからマチュピチュ下の村、アグアス・カリエンテスまで列車で3時間半。

列車を降りてバスに30分ほどゆられ、狭い入り口を5,6分進むとマチュピチュ遺跡は忽然とその姿を現します。

あまりにも突然、そのすばらしい景観を目の当たりにするので、その感動は口では言い表せないものとなります。

尖った絶壁の山々がそびえるウルバンバ渓谷の山間、標高2,280mの頂上にあるマチュピチュ。

マチュピチュとは老いた峰を意味するそうです。

この遺跡は、スペイン人から逃れるために、あるいは復讐の作戦を練るために、インカの人々が作った秘密都市だったともいわれていますが、本当のところはわかっていません。

マチュピチュの総面積は5平方km、その約半分の斜面には段々畑が広がり、西の市街区は神殿や宮殿、居住区などに分かれ、周囲は城壁で固められています。

16世紀半ば、インカの人々は高度な文明が栄えたマチュピチュを残し、さらに奥地へと消えてしまったのです。

その後400年以上にわたって人の目に触れることなく、1911年にアメリカ人歴史学者ハイラム･ビンガムが初めて見た時には、草に覆われた廃虚となっていました。

マチュピチュにまつわる多くの謎は、未だに解明されておらず、いまでもその全貌はわかっていません。

文字を持たなかったインカの人々が何を我々に残そうとしたのか。

神秘に包まれているからこそ、その魅力はたとえようもなく私たちを捉えて離さないのかもしれません。

マチュピチュへ向かう基点になるクスコの街は首都リマから飛行機で移動します。

標高3,360m。

高山病にかかる人も多いため、酸素持参で旅をする旅行者がたくさんいます。

クスコは11〜12世紀頃に建設され、太陽神を崇拝するインカ帝国の都として栄えました。

ケチュア語で「ヘソ」を意味するこの都市には、帝国内のあらゆる地方から人々が集まり、まさに世界の中心地とされていたのです。

しかし、16世紀になるとスペイン人の征服がクスコにも及び、インカ帝国は一瞬にして崩壊。

征服者たちは、太陽の象徴である黄金で彩られた神殿や宮殿を破壊し、金銀を手当たりしだい略奪してインカが築いた精巧な礎石の上にスペイン風の教会を建設していきました。

インカ時代の美しく精巧な石組みと、スペインのコロニアルな建築物が融合したクスコには独特な雰囲気が漂っています。